冬の遊びはスキー。ランドセルを置くとすぐに着替えて、日暮れまでの短い時間を最大限楽しもうと、勢い良く飛び出していく。山に囲まれた街だから、いたる所に斜面があり、滑り放題だ。
「デモンストレーションゲーム」の他によくやっていたのが「ジャンプ」。
自分たちで雪を集め踏み固め「ジャンプ台」を作る。もちろん、誰が遠くに飛べるか、を競うわけだ。
(今でもボーダーの方々は台を作り楽しんでいるのを見かけます。横を通り過ぎるとき、「おぅ、やってるやってる、楽しいんだよね、これ!」と心の中でつぶやいていたりする。)
台の縁辺りで踏み切りをする。その場所が早くても遅くても遠くには飛べない。上から滑ってきて、タイミングを合わすのだ。(そういえば、ストップウォッチでタイミングを取るのに似ている・・・)そして、3〜5mを飛んで着地する。
遊びは進化していく。3〜5mを飛んでいた台を、頑張れば5〜10m位飛べるようにと、台を大きくしていく。
月見町の高台の麓、西町に30m級のジャンプ台があった。
シャンツェは木造。踏み切り台やランディングバーンは斜面の地形をうまく使っていた。
板張りのシャンツェは、板が腐れてしまうので、毎年補修がされていた。
そういう安全への配慮もあったと思う、「子どもたちだけで行ってはいけない」、がローカルルールだった。
そういうことで毎日使っている訳ではないので、ここでも皆で踏み上げながらランディングバーンを登って整地作り。
雪の量によっては滑り降りて、もう一度踏み上げることもあった。
シャンツェに上がると、自分たちが作ってきた台とは景色が違う。やはりビビってしまう。
少し控えめに助走距離を取り、無理をせず、飛ぶことに慣れることから始める。
スピードが足りないと、ランディングバーンの土手部分に着地し、なかなか斜面の中へ落ちていけない。
慣れてくると、シャンツェの一番上から滑り始めていた・・・。
アポロ11号が月面に着陸する前の冬の出来事でした。西町のジャンプ台は今はありません。
このジャンプが、ゲレンデシュプルング(通称ゲレシュプ)という検定種目として存在することを、数年後に知ることになる。