うまくできないということは難しいシチュエーションだから。やさしいシチュエーションで練習しよう。
1980年代の日本スキー教程に書かれていた「指導の原則」の一つである、
「やさしいものから難しいものへ」
私が準指導員を受検した頃に考えていたこと。
「パラレルターンやウェーデルンなど、動いてしまうとデモンストレーターの足元にもおよばないが、動かないものぐらいは日本一の質に仕上げなければ。」
早朝は空いている急斜面でのトレーニング。10時を過ぎたら混みだしスピードトレーニングはとてもできなくなるので、ホームゲレンデであった石打後楽園スキー場では、レストランイイホーの脇の緩斜面で質を高めるトレーニングを行っていた。
メニューは斜めプルーク。
斜面を斜め方向にプルークの姿勢で移動する。そしてプルークの3態。
(1)左右均等のズレ幅で移動する斜めプルーク。
(2)山開き斜めプルーク(谷スキーは斜滑降、山スキーはズレ幅が多くなるもの)。
(3)谷開き斜めプルーク(山スキーが滑走面がペタッと着いて直進し、谷スキーのズレ幅が多くなるもの)。
山開き斜めプルークは、山側のスキーを谷スキーに揃えると、斜滑降になる。
谷開き斜めプルークは、山側のスキーを谷スキーに揃えると、横滑りになる。
プルークとはターンポジションであり、ターンポジションで斜面を移動するのだ。
本当に1シーズンかけて練習して質を高めた。
同じ方向で、滑りながら(1)(2)(3)を連続してやってみる。同じ方向をキープするのだ。
単純なことの中に、やさしいシチュエーションでなければ、質を高める作業はできないのだ。
結論を急いではいけない。
自分が思い描く質の高い滑りを実現するため、やさしい環境を設定して(やさしい状況で)難しいことにチャレンジしてみよう。
ハの字のどこに腰を置いておいて、体はどこを向いているときに、素敵な斜めプルークに見えるのであろうか?