BMZへ2回往復した間、助手席のやまたかさんと色々な話をした訳です。
クラウンプライズの質へチャレンジしている彼は、標準的な日本のエキスパートスキーヤーだと思います。
しかし、スキーブーツに関する知識・考察など知らなかったことがあったそうです。
そこで、スキーブーツに関する私の考え方を話してみました。
日本人に合うように作られたスキーブーツと言えども、工業製品です。私は「半製品」だと思っています。
多くの人に合うように作りました、と言われても、平均値の足型の人はいないはず、私にはどうなのよ?
「製品」となるには、自分の足にフィットさせる作業を加えなければなりません。
足型ほど千差万別であると言えます。自分の足をしげしげ眺めたことはありますか?
かかとの形、幅はブーツに収まりそうですか?(かかとの位置が決まるのが基準のようですね。)
足裏のアーチは前後方向と左右方向に2つありますが、チンパンジーが足でバナナをつかむように足に力を入れた時、自分の力でグーをした時にアーチの変化はどうですか?
運動靴のサイズでスキーブーツを選択してはいけません。
自分の足幅の一番広い所と、インナーブーツの一番広いところが合ってますか?
だから、インナーを取り出し、足裏に当ててみるのです。サイズを決めるには必要な工程です。
そして、足の長さが収まるのが第一条件。次に幅のチェック。
足のボリュームが収まるブーツサイズのミニマムが決まります。
そして「足を入れてみて当たるから1サイズ大きい物にしよう」と思うことがそもそもの間違いです。
例えば、1サイズ大きくなれば、ブーツが持っている一番幅が広い場所が前にズレていきますから、自分の足の一番広い所に当たる箇所が狭くなってくるのです。1サイズ大きくしたら余計に当たりが多くなることもあります。さらに足首周りのボリュームも大きくなりますから、かかとを固定する力もきっと半減することでしょう。
ですから、平均値という人はいないと思った方が賢明です。
工業製品なのですから、足型に自動調整されないプラスチック製のスキーブーツでは、自分の足型に調整することが必須となるはずです。
所詮、メーカーやショップは工場出荷状態の製品を購入してもらうことが目的です。
しかし、スキーヤーはスキーをする時に最高のパフォーマンスを実現したい、というのが目的ですから、スキーブーツの設計性能を出すには、足型(足から膝までの状況)に合わせる作業が必要になるのは言うまでもありません。
できたら、足型に合わせる作業技術を持ち合わせた職人さんに調整をお願いしたいところです。
販売店が調整技術を持ち合わせていますか?
持ち合わせていればベストですね。
それと、足型は常に変化します。
今の足の状態はベストですか?
理想的な足型で、左右差もなく立ち位置に歪みの無い人はいないと思います。
ですから、今の足型をコピーしてインソールを作ってみても、悪い状態を固定することになりませんか?
ブーツの調整には費用がかかります。ブーツを購入した上に調整費用も払うの?
だって製品代には調整費は含まれていないのですから・・・。
10回スキーに行くとして、ブーツが不安定な10回と、ブーツの調整費を捻出して9回しかスキーに行けなくても、満足するスキーができる9回であったら、あなたならどちらを選びますか?
何が高くて安いのか・・・。
誰が決めるのでもなく、その人が決めればいいことですよね。
スキーブーツと言えども、工業製品であることを考えよう!
アルペンレーサーが常識と思っているこれらのことも、一般スキーヤーへは伝達されていないのが日本の現状だと思います。もっとゼロ地点を見直しパフォーマンスを改善しよう!