安定したバランスを保ち滑走するためには、腹筋・背筋と呼ばれている表面に近い所の筋肉だけでなく、コア(体幹)と呼ばれるインナーユニットの筋肉が重要となってくる。
インナーユニットとしては、多裂筋、腰方形筋、腹横筋、内腹斜筋を指すそうだ。
トレーニング実技講習会では、ドローイン・エクササイズを体験し、腹横筋で体幹を締める感覚を学んだ。
具体的には、仰向けに寝そべり膝を90度に保ち力を抜く。腹式呼吸から息を出し切り、お腹が最大限にへこんだところで、お腹をそのままにして胸式呼吸に移る。腰骨の一番出っ張っている部分から5cm位内側を指で軽く押してみると、少し固くなっている感じがするはずだ。
その体勢で咳き込むと反応する筋肉、笑ってもこの筋肉が固く反応することに驚いた。笑いすぎてお腹がよじれるとは、この筋肉が動きすぎて疲れた感覚であることがわかった。
お医者さんが老人に「お笑い」を推奨しているのもインナーユニットに働きかけて腹圧を高める効果を期待しているからだろう。
このコアを意識しながら足を動かすトレーニングとか、腕を動かすトレーニングをデザインしていく。基本エクササイズから専門的エクササイズに移行する際に体幹の重要性を意識付けさせるこのインテグレーション・トレーニングを経由し、コアの意識を高めていくことが推奨されている。
スキーは全身を使うスポーツなので、部分的に筋肉を鍛えることと同様に、全身の筋肉のコーディネーションが重要となる。
これらのトレーニングは、技術的な向上が目的ではあるが、滑走中に体が遅れて腰が落ち→膝が90度になる位にキープされた時に、膝の靭帯が一番切れやすいのだから、怪我を予防する上でもとても重要なトレーニングに位置されてくる。
オフシーズンに継続して行うこれらのトレーニングは、単調になったり、目的意識が薄くなってくるかもしれないが、目的意識をしっかりと持ち取り組んでほしい。
世界を目指す子供たちも、指導者を目指す大人たちも。