昨日の講演会で山梨大学の中村和彦さんからのお話を聞いて、かなりショックを受けている。
それは運動能力の低下である。
大学生になってもボール投げが幼稚園児なみのコーディネーションしかできない人が増えていること、
転びそうになって手をつけなくて顔面を打ってしまい、顔・頭への外傷の増加、
飛んできたボールを避けることができず、目をつぶって防御することもできずに、眼球損傷してしまうこども、
階段を2段分飛び降りて両足を骨折してしまうこども・・・
文部科学省が1965年から取りつづけているデータから見ると、1985年に運動能力の低下が始まってから歯止めがかかっていなくて、現在も続いているとのこと。
1983年に発売となったファミリーコンピューター(ゲーム機)の普及と一致すると私は思う。
また、1日の歩数を見ると、都会に住んでいるこどもの方が多く、地方に住んでいるこどもの方が少ないとのこと。
地方でも、中核都市のベッドタウンとなる郊外の都市部では、通学にスクールバスを使い、少子化なので自宅前に停車できたりしている。
塾に通うのも家の人が車で送迎することになる。
学校の授業で動いているだろうと思ったら、今の小学生は体育が週に2時間、機械体操などになると順番待ちなどがあり、45分間の授業のうち、運動しているのは8分間だという統計もあるそうだ。
週に16分しか運動できていない現実。
しかも、これは、「日本だけ」のようだ。
ユネスコが20か国を対象に長年調査している統計の中に、「活動的な身体運動」というものがある。
11歳(小学校5・6年生)を対象に、120拍/分となる運動を1日30分以上する日が週2日以上あるこどもの割合、という統計である。
数年前の数値だが、
1位:オーストリア 男子89% / 女子83%
2位:ドイツ 男子83% / 女子74%
3位:アメリカ 男子74% / 女子65%
4位:フランス 男子80% / 女子54%
20位:日本 男子37% / 女子27%
週2日以上ということなので、2日〜7日という範囲である。
日本は10年前では16位、15年前では6位であったのに。
次の統計ではオーストラリアが上位に出てくるだろうと言われている。今、オーストラリアは国を挙げて「アクティブ・アフター・スクール」というプログラムを作り出し、全国展開しているそうだ。色々な種目の国際大会でも成績を出しいるのを耳にするようになった。テーマは「おもしろいと感じながら身体を動かすには、どうしたら良いか?」である。学校体育と地域スポーツが手を組み、おもしろいコンテンツを用意することで、毎日参加する子どもができているそうだ。
このプログラムを南アフリカは1億円で購入したそうだ。オーストラリアからコーチを招聘し、国を挙げて取り組んでいる。新しく独自に考え出したりする「手間と時間」を計算すると、購入した方が安く、しかも望む姿に早く到達できるという結論に達しての行動であるとのこと。危機感に対応する行動が早い国であると思う。
さて、日本の将来は・・・。(つづく)