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2011.5.9 原則的な谷回りの運動に関する備忘録


2011年に指導者検定種目の「原則的な谷回りの運動」を演技する時に、私が意識していた演技要領を備忘録として記載してみたい。
ここに記載するのは、あくまでも、私個人の意識であり、このようにしなければならない、というような規制はありませんので、誤解なく読んでいただきたいものです。

さて、多くのスキーヤーは、回りたがる。
斜面の下へ落下することを拒否して、回りたがる。
プライズテストの合格レベルを目指している方でも、回りたがる。
落下成分を少なくして回転成分を多くすると、「スキーの角を立てて、抵抗を受け止める」状況を作ってしまう。山回りの時間帯が長すぎる構成になり、なかなか斜面の下側へ移動できない。

回りたがるスキーヤーの回転弧を見てみると、
正方形のスペースに回転弧を描こうとしているように見える。だから、描く半円は「楕円」だ。

綺麗な半円は長方形だ。

正円は、正方形のスペースにぴったりと納まる。
だから、それを半分にした半円は長方形なのだ。
はたして、スキーヤーは、長方形を描こうとして、斜面を降りているのだろうか?

この「原則的な谷回りの運動」は、指導者のためにあるのではない。
今シーズン、初心者から上級者へのレッスンで多用した。地元のスキー場は緩斜面と急斜面しかないので、緩斜面で滑走を覚えた初心者が急斜面でゆっくり滑るのに、今まではプルークボーゲンの要領を提案してきたが、体力的にも辛そうだし、スピードコントロールもうまくいかないケースが多くあった。

この「原則的な谷回りの運動」の要領をベースに動作要領を提案してみると、どの技術レベルでも、年齢にも左右されず、安定して急斜面を降りてくることができた。そしてスキーヤーの感想も「楽に降りてこれました」というものであった。

斜面への滑落を考えると、急斜面は易しく、緩斜面では難しい。
スキーの指導者を目指しているならば、あらゆる斜面で練習すべきだ。
なぜなら、生徒さんはリフトを降りたら、その技術で山全体を移動することしかできないのだから、指導者がどの斜度でも見本を見せるのは当然のことと思う。

【動作要領】
(1)わずかに内旋され、平踏みに近い、スキーの先端を離したハの字スタンスで、両足を同じ長さにして立ち、横方向に近い方向に滑り出し、両脚を軽く伸展する。
斜面に横向きで、左右の足の長さを同じにして広いスタンスで立つと、体全体は、谷側へ傾いた状態になりますので、滑り出す前に、既に重心は谷足寄りにあります。

(2)伸展されている山側の脚の長さを変えずに、谷側の脚を屈曲し、短くする。
屈曲する方法としては、股関節の位置をスキーのテール側に動かすことで、脚を短くしたい。屈曲しながら、山側の大腿骨骨頭を骨盤に押し付けるよう力を使うと、上体は谷側へ傾く。頭の位置が谷足の上にある感覚がチェックポイント。上体が傾くだけで、スキーの滑落はまだ始まらない。

(3)谷側のスキーの滑走面と頭の位置の垂直関係を保つ感覚で、頭の位置をさらに谷側へ傾ける。
すると、スキーの傾けが誘発され、谷側スキーの横滑りが始まる。谷側スキーのアウトエッジを雪面に接しない範疇で、横ズレを使い、斜面の下方向へ移動する。

(4)谷側のスキーの足元を支点にし、スキーのトップを谷側へ落とすピボット操作をゆっくりと行う。
(専門用語としては外旋。外旋についての考察 2011.5.8の記事参照。)
足元がわずかに内旋されていた(ひねられていた)ものを、捻りを解くように、上体の向きとスキーの向きを同じになるところまで戻す。
そこから、スキーのトップの向きと上体の向きを同調させながら、フォールラインへ向かう。

(5)ここに来て谷足だった足が内足となる感覚になる。ここに来るまでに内足で軸を作るようなバランスであったことで、「片プルーク」のバランスが見られる。私の写真ではスタンスの幅が広いので、わずかにインエッジ側にスキーが傾いているが、もう少し狭いもので行うと、内足がフラットになり、足首から肩までが垂直に位置するポジションが現れる。
そして、ここまでは、わりとルーズだった外足に、荷重感が現れる。横ズレする足が入れ替わることになる。ここから「外主働」という表現をしているように、ターンの外足が谷足になり、谷足で横ズレを行う方向(斜面の下側)へ、スキーを押しずらしていく。

(6)斜面下側へ横ズレを伴いながら落下しつつ、横方向へも移動し、山回りの時間帯に入る。谷側の足がどんどん低い処へ移動するので、山側の足との高低差が増す。その分、重心を下げる動作を行うことで、両足荷重を保つことができる。
谷側スキーに雪煙が出ているのが、横ズレしていることを示している。谷側のスキーのトップ方向に進行方向を取ると、スキーの滑走性が高まり、斜面の下側へ落下することを困難にする。

(7)山回りの後半には、両足を同じ長さにし、2本のスキーの真ん中に体を位置させて停止する。

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谷回りの原則的な運動(1) 谷回りの原則的な運動
谷回りの原則的な運動(2)
谷回りの原則的な運動(3)
谷回りの原則的な運動(3)−2
谷回りの原則的な運動(4)
谷回りの原則的な運動(5)
谷回りの原則的な運動(6)
谷回りの原則的な運動(7)

【解説】
(1)から(4)の時間帯で、谷足(内足)のスキーの滑走面がピタっと雪面についたら、谷足(内足)はそこからは滑落しないので内足の主導が終わってしまい、次の谷足(外足)が働くことになる。

連続ターンでは、谷足(内足)の滑走面がピタっと雪面につく場所が、
スピードが遅い滑りでは(5)に近い場所で、
スピードが速い滑りでは(1)の場所で、
というように、変化していく。

スムースな回転弧を描くためにも、スピードによる変化、自在さを身に付けたい。

以上、2011年の備忘録でした。

 



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