ここだけの話 archive
大回り系のターンをしたい時、切り替えしの前後のシーンで、スキーと腰の向きに注目していきたい。
以前に整理した「腰の向きの課題 2010.8.13」では、「エラー」とは小回りの対応になることを示していて、 大回りでは「こうありたい」と言っている「ピンク色の矢印(スキーにの向き)」と「紺色の矢印(腰の向き)」にわずかに差があることを示していたが、大雑把に「スキーの向いている方向」という表現を使っていました。
2011年12月に参加した「技術員研修会」でのグループミーティングで、仲間から「推進要素で滑走している時の身体の向いていく方向はどうなんでしょうね?」というお題をいただき、イグザミナーも交え、ディスカッションをしました。(おぼろげな下地作り)
2012年3月に開催された全日本スキー技術選手権大会での連写データを鈴木浩さんから見せていただき、動作解析ができたこと、(新たな気付き)
2012年4月に参加した「スキー指導者研修会」で、風間健太デモから学んだ2軸運動、沖山正裕デモからアドバイスをいただいた「A単位の制動要素も、演技しすぎることなく、精練してみましょうか。B単位に近いところを意識して。」(パラダイムの変換)、
八方尾根スキー場で、太谷祐介デモ、青木哲也デモ、丸山淳也選手から学んだ「重力方向を意識するタイミングと、いただいたアドバイスが示す意識と現象の差」(スキーヤーの動作感覚での気付き)を経て、この春に整理できたことがいくつかあります。
【スキーの進行方法と腰(身体)の進行方向の原則的な運動】
ターン運動の切り替えし時期で、身体を重力に沿うような方向にポジショニングできると、スキーの角付けもゆるみ、スキーは絶対水平に置かれ、そのまま何もしないと、斜行を続けることになる。
そういう状況下で、
1)左スキーのアウトエッジカーブ方向と右スキーのインサイドエッジカーブ方向(前の回転を続けようとする方向)、
2)両スキーとも、スキーの長軸方向(斜行を続ける方向)、
3)左スキーのインサイドエッジカーブ方向と右スキーのアウトサイドエッジカーブ方向(次の回転をしていく方向)
の3つの方向を意識することができる。
そして、スキーの向きと身体の向きをどうセットするかで、現象が違ってくる。
その1)
図の(1)の方向に腰を向けると、いつまでも回転を続けることになる。
上半身の順ひねりを多用してしまうと、角付けを切り替えようとしているタイミングで、まだ(1)の方向に身体が向いてしまう。
その2)
図の(2)スキーの長軸方向に身体を向けて、スキーと身体が同じ方向に移動してみると、いつまでも角付けは切り替わらない。
その3)
図の(2)にスキーを進行させ、(3)に腰(身体)を進行させると、「角付けがはずれる」.。
さらに移動すると「身体とスキーは離れていき、長い外足が自然と出てくる」。
この時に、脚の長さを変えたり、何らかの操作をすることなく、まさに「じっ」としているだけなのに、出来てしまう。
低速時のように谷側の脚を曲げるなどという操作をしなくても、角付けがゆるむ感覚を感じてみましょう。
次に斜面に垂直な場面が現れ、そこから、ターン外側のストックのリングを重力方向へ落とす動きをしてみると、何かが変わってきます。
この当たりのお話は次の機会に。
切り替え時に(2)の方向に腰を向けて進行していくと、次の瞬間には、スキーが回転を始めてしまいます。
スキーは(3)の方向に、腰はまだ(2)の方向を向いてしまいますので、下から見ているコーチからは、 「ターンの入り口で、身体がターンの外側を向いていますよ。」と指摘されることにないます。
本人は外側を向いている意識がないのですが、ターンの外側半身が回転方向に対して後傾になり、身体の落下運動を妨げてしまうから、スキーがスムースに動いてきません。
「2012.5.6 春スキーしてますか? (奥只見丸山スキー場)」
脚部を伸展させることを意識しすぎて上体があばれているものの、スキーの回転方向に腰の向きをしっかりと意識できているので、角付けの変換とスキーの推進がスムースに行われている。
スキーが推進する方向、次のターンでスキーが推進する方向・・・。
「スキーが進行しようとする方向は、爪先が向いている方向ではない」という意識が必要かもしれません。