ここだけの話 archive
3月・4月と「小回り特訓月間」を実施しておりました。
3月は特にナイタートレーニングを多く行い、3月10日までに約5,700ターンをトレーニングしていました。
その後は講習会等がありましたので、ターン数は計測できませんでしたが、裕に1万ターンは小回りしたと思います。
お陰様で、当初イメージしていた運動ができるようになりつつあり、ナショナルデモンストレーターからも、お褒めの言葉をいただけるようになりました。(左外足から抜け出る時間帯に課題が残っておりますが・・・)
次(来シーズン)は、大回りのバージョンアップを目論んでおります。
R23の板の手配もつきましたし・・・
さて、今回は、【技:ポジション】がテーマです。
スピードの次元が高くなると、変化しなければならないことが出てきます。
最近の話題としては、先々週、ロシニョール社のスプリングイベントで来日した「インナーフォッファー」の滑り。
私的には、シュテムターンからパラレルターンでの、腰と外足の位置関係を注視しています。
こちらは星瑞枝さんのフリースキーの映像です。外脚は長く、内脚は短く、外脚で身体を支えてゆっくり滑るのか、内脚で身体を支えて速く滑るのか・・・
「滑る(スピードを出す)ポジショニング」と「制動の(ブレーキをかける)ポジショニング」の違いですね。
こちらは大変な違いがあります
2010年2月に開催されたSAJ B級コーチ養成講習会・検定会(アルペン種別専門科目)におきまして、プルークボーゲンを確認するコマで、教育本部が提唱する「滑るプルーク」のポジションで演技したところ、講師であったジャパンチームヘッドコーチの岩谷さんから「後ろですね。」と指摘され、参加されていた名だたるコーチの方々にも確認したところ、「後ろです。」と言われた経験があります。
【参考】
SAJ B級コーチ養成講習会・検定会 アルペン種別専門科目 (2010.2.21)
研修会などで、理解を深めていただくために、【レレレのおじさんの法則】とネーミングをして、説明しています。
「天才バカボン」という赤塚不二夫さんの漫画に登場する「レレレのおじさん」が、いつも持っている竹箒を逆さにして手のひらの上でバランスを取っていたとします。
そこから、レレレのおじさんが小走りしました。
小走りしながらバランスが取れている竹箒は、どのような位置をしているでしょうか。
竹箒は、進行方向に少し前傾した状態で安定しているのではないでしょうか。
そこで、質問です。
【なぜ、テクニカルプライズ、クラウンプライズの合格者が少ないのでしょうか?】
それは、ターンスピードの自在さを求める滑りでのポジションの基準をどのように考えているか、ということに尽きるのだと思います。
うまく出来ないのは、スキーヤー個人の想像力の欠如という自己責任になると思いますが、それに見合うカリキュラムの提供が無い、というのも事実ですから、アルペンスキーの普及発展のためには、「高速度ターンに必要なカリキュラムの提供」が必須だと思います。
SAJの教育本部が提唱していカリキュラムは「制動の(ブレーキをかける)ポジショニング」を基準とした内容ですから、スピードを出したシーンでは後傾になるのです。スピードを調整してなめらかに滑っている、ということは、ブレーキをかけながら滑っているのです。
「このように滑ってください」という合格基準の作り方(カリキュラム)を提案しないでおいて、「あなたはできないから不合格です。」という検定は、再考していただきたいものです。少なくても、育成するプログラムがあれば、全国の合格率も上がると思いますし、そういうポジションの考察ができるようになれば、レースに取り組む子どもたちへも広く浸透するものと思います。
また、この話をプライズ検定の直前の事前講習のタイミングで聞いても、すぐにできませんよね。
だからカリキュラム案の提示を指導者の方々へしっかりと行い、公認スキー学校でいつでも受講できるようになるといいですね。
スピードを出したいスキーヤーは、是非、ご検討ください。
それも、自由な発想で・・・
次に、スキーブーツのことも考えてみてください。
スキーブーツの設計は、各社違いますし、同一メーカーでも製造モデルにより違います。
私が使用しているロシニョール社製ブーツ Racing ZB やラングRPシリーズでは、インナーベッドが4度前傾して作られています。
私は、中速度以上のスピードが出るターンでは、4度前傾していることを認識して、滑走ポジションを前寄りに調整しています。
だから、スキーとスキーヤーが直角(90度)にポジショニングすることはありえません。4度後傾してしまうのです。
身体的な対応としては、ブーツのタングにスネをしっかりと押しつけ、斜面への滑落に対応すること。
ターンの外足は、ハムストリング(腿裏)を伸展させた高い位置からの曲げ荷重で、アイソメトリックの対応をとり、曲げすぎないこと。
ショートターンでも、ロングターンでも、板がしっかりと「たわむ」ためには、身体は伸展位によるテンション(高い位置)が必要だと思います。
ここで、「お前はスキー技術員なのだから内部でなんとかならないのか?」とご指摘を受けそうです。
先日、所属する連盟の教育本部長へ具申いたしました。
競技部とか教育部という概念でなく、「アルペンスキー」というジャンルで、アルペンスキーに携わる方々の連携、都道府県の枠にこだわらず、知識と経験の融合など、今後の展開に期待しております。
アルペンスキーは、坂の高い所から低い所へ滑落しながら、右へ行ったり、左へ行ったり、するスポーツです。
だから、平地で考えてはいけません。斜面を下りながら考えなければならないのです。
また、リアルゲートや、エアゲートを含め、【このような滑走ラインで滑りたい。そのラインをこんな運動ぶりで滑りたい】という思いに挑戦し、【うまくできた】という自己実現を求めるスポーツ、であると思うのです。
【滑走スピード】という物差しでアルペンスキーを見直してみませんか?