ここだけの話 archive
前回は、ターン外脚に股関節についてのお話(横滑りの時、腰が回ってしまう方へ)でしたが、
今回は、「ターン内脚の股関節」についてです。
写真は昨年、月山での滑走時のものです。
スタートから5ターン目のシーンです。
スキーの向きに腰の向きが合ってしまいました。
できれば、腰はフォールライン方向に向けて、スキーと腰が捻じられた状態にしたい、ところです。
私の場合、右外足の時は、うまく捻じれができるのですが、左外足の時は、うまく捻じれができません。
さて、昨年は外脚にフォーカスを当てて、筋肉の可動範囲を見直したわけですが、
今年内脚の動作を見直した結果、この記事についても見直してみます。
膝を曲げて立っている状態を、上から覗いた時の状況を図解してみました。
膝をまっすぐ前に向けている時は、腰のラインと膝(大腿骨)のラインが、90度の位置関係にあります。
ターンの内脚になった時に、この90度の関係を保持してしまうため、膝の向きに腰が引っ張られ、上記写真のとおり、膝と腰は90度の関係をキープしてしまうので、スキーと腰が捻じられた状態にならないのです。
なぜか?
その直前まで、前のターンの外スキー役割をしていたからです。
外スキーの役割から、内スキーの役割へ、バトンタッチが出来ていないのです。
フォールラインを境に、スキーの進行方向が逆転する訳ですから、その動きをスムースにするためには、内脚の股関節を外転(開く)ことが必要となります。
脚を開く動き(外転)は、そんなに力が要りません。
フォールラインを過ぎたら、スキーの回転に合わせて、山回りの時間帯に「内脚の外転」を、少しづつ行います。
始めは、外スキーでバランスをとっているため、「ガニ股」のような感じなりますが、
慣れてきたら、その「ガニ股」と感じていた内脚でも身体を支えるようになってきますので、綺麗な「くの字姿勢」が見えるようになります。
プルークボーゲンから抜け出せないスキーヤー、片プルークは(内脚のスキーは平らになるように身体を内側に位置することができる)のに、なかなかパラレルターンにならないスキーヤーが、あまりにも多くいます。
それは、スキー教師が、この内脚の仕事を説明してこなかったからではないでしょうか。
(1) ターンの切り替えしが終わったら、内脚を曲げる。
(2) フォールラインに向かうまでの時間帯で、内脚股関節を外旋させると、内脚の脛は簡単に外脚の傾きとそろうようになる。
(3) フォールラインを過ぎたら、内脚を外転(開く)させる。
実際に、プルークボーゲンから脱出できない小学校低学年の女の子を指導する方に、このプログラムを説明し、実践していただきましたら、2時間の講習で、みるみるパラレルターンが出来るようになりました。
今後も、指導法を研究し、効果的なカリキュラムを検討していきたいと思います。
私が指導を行う機会がありましたら、
スキーをつけずに平地で(できたら宿舎で)、運動リハーサルを行いたいと思っています。
その内容としては、
(1) 2人組となり、人の方に手を乗せバランスの補助としてから、片足の膝を挙げる、
(2) 膝を挙げた脚を外旋させる。脛が傾くのを確認する。
(3) そこから、身体は正面を向いたままを保持し、股関節を外転させて、ゆっくりと着地する。両足のつま先が開いている状態。
(4) 次に、腰と内脚となる開いた脚がなす角度(鈍角)を保持し、外脚となる脚を横に添えると、【横滑りの姿勢】が現れる。
運動リハーサルで感じたように、雪上で行えば、短時間でパラレルターンができるようになると考えます。
最近、教育本部は「内脚主導」と言わなくなっているけれども、
内脚を先に開くことで空間が出来、その空間が、外スキーが自由に動けることを可能とする。
まさに、内脚がターンをリードする、というような表現がピッタリだと思う。
試してみてください・・・。