この病気は、気候の変化、寒暖の差があると体調がすぐ悪くなります。実家に着いた時は寒いぐらいで、体調は余り良くなかったが、3日目は車椅子を押すほど良くなりました。
家に帰って来て、今度はこちらの気候に慣れず、一日は調子が悪かった。ブーブーとトイレのブザーが鳴った。「何だ」「30分も入っているの。おしめして」「お前な、人に物を頼む時は、お父さん、ご面倒でも、おむつをして下さいぐらい言えないのか」。私の顔をじーっと見て「お父さん、ご面倒でもおむつをして下さい」「そう言えば何でもやってやる」。これも「おむつをして」たったそれだけでも分かる事ですが、敬語を使う事により、口数の少ないのを一言でも多く喋らすよう心掛けていますが、独り善がりかも知れません。
そしてトイレを出る時、必ずやる事があります。それは妻を立たせ、壁に手を当てさせ、私が後ろに回り、左手を肩に当て右手でお尻を壁の方に押しつけ、体を弓なりに曲げ脊椎を伸ばすように心掛けています。
座椅子に座っている時、便座に座っている時、また転倒した時、抱き上げ背筋を伸ばすようにすると、毎回ではありませんが、今まで身動き出来なかったのが、急に治り、嘘見たいにスースーと歩き出します。見ている私さえ驚いて、目を見張る事もしばしばです。思うに、座ったり寝たりしていると、心臓の働きが弱くなり、血の循環が悪く、薬の効き目が悪いのかも知れません。立ったり、歩いたりすると、心臓の働きが良くなって、血の循環が良くなり、前に飲んだ薬が急に効き出すのではないかと思います。
それにしても訳の分からない変な病気です。手の震え、歩行困難、筋肉の硬直等は分かりますが、その他、理解の出来ない事が多々あります。妻が良くやる事ですが、手の震えが酷い時「震え止まれ」と手の甲を叩くと、ピタッと止まる。また暫くすると震え出す。歩く時、平らな所では足が畳に吸いついたようになり、立ちすくみ状態になり一歩も歩けないが、障害物があると、それを跨いで歩いて行く。例えば、梯子を地に置き、そこまで抱いて行って梯子の元に立たせると、初めは足が上がらないが、一歩踏み出すと、梯子の横棒を跨ぎながら端から端まで、自然に歩いて行き、渡り着くと、とたんに動けなくなる。また歩けない時、足元に枕など置くと難なく跨いで行く。一般常識では考えられない事です。平坦な所は歩けないが、障害物を跨いだり、また階段を上り、下りをする。全く不可解です。
また薬の効き方が毎日違います。良く効く日、全然効かない日と、まばらです。普通の薬では徐々に効いて来ると思うが、妻の場合は、電気のスイッチのON、OFFのように、急に薬が効いたり、効かなかったりの差が激しい。今歩いていたかと思うと、突然動けなくなる。また、全然動けない時などは、ちょっと押しただけでも朽ち木のように倒れるが、そのうち「ああ気持ちが良くなった」と立ち上がり、急に歩き出す。摩訶不思議としか言いようがありません。
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