5_1.福祉行政の充実に感謝
 仕事の関係で保健所に行った時、先日お世話になった保健婦さんに声を掛けられた。「あら桜木さん、先日はどうも。級の申請はしましたか」と言われました。咄嗟に「いま申請中ですので、近いうちに分かり次第お知らせします」と言ったが、母の事ですっかり忘れていたので、嘘をついて早々に用事を済ませ帰って来ました。

 次回の診察日に「先生、先日保健婦さんが来て色々指導して頂いた時にね。身体障害者の手帳を見て、5級なんておかしい。級を上げて貰いなさいて言われたのですが、この状態で何級ぐらいなんですかね」「5級ですか?もうとっくに3級になっていると思っていた。それは気が付かなくて悪かった。では申請しましょう」と言い、検査・問診等をし「これでは殆ど1級だね。来週までに申請しておきますからまた来て下さい」と言われました。

 一週間後「看護婦さん、先日の書類出来ていますか」「出来てますよ。今度2級になって、障害年金が貰えるから、市役所に行って手続きをして下さい」「そうですか。帰りに寄ってみます」と軽い気持ちで聞いていました。

 早速、市役所に行き「今度2級に更新されたのですが、どうしたら良いのでしょうか」と言って書類を渡したら、色々な書類を持って来て、親切に、きめ細やかに教えて下さった。色々話しを聞いて、福祉行政がこんなに充実しているとは思いませんでした。障害年金・障害手当て、その他諸々で金額にすると十万円ぐらいが支給される事になりました。

 帰りがけに「車椅子が欲しいのですが、安く買えると聞いています。どうしたら良いのでしょうか」「奥さんの場合は市で差し上げますから、この申請書を提出して下されば、業者がお伺いして、体に合わせて作ってくれますよ」「そうですか。是非お願いします」と頼みました。

 さらに「ああ、それとね。ヘルパーさんを週一回派遣する事が出来るのですが、どう致しましょうか」「有り難うございます。折角ですけれど、自営ですので、何時も家にいるので、ご心配なさらないで下さい」「お休みの日はどうしているのですか」「留守にしても2、3時間、後は一日中家にいます」「それではね、定休日にヘルパーを派遣しましょう。毎日みてても大変ですから、週に一度ぐらいは、ドライブに行ってもいいし、好きなパチンコなどして、気分転換するのも大変必要な事ですよ」「そこまで心配して下さるのですか。じゃお言葉に甘えます」。次の週からヘルパーさんに来て頂き、非常に助かっております。定休日は心置きなく外出出来ます。

 妻は友達も少なく、自分の殻に閉じこもる事が多かったが、ヘルパーさんと世間話などしたり、愚痴を聞いて貰っているうち、段々と打ち解け、心を開き始め、精神的に楽になったのか、顔色も良くなり、今まで余りなかった事ですが、私に良く話し掛けるようにもなって来ました。

 またヘルパーさんが良い人で、「妻をみて貰うより俺をみて貰いたいな」などと冗談を言いました。お医者さんにみて貰うより、どんな良い薬を飲むよりも、ヘルパーさんの献身的な心が何よりの良薬になったようです。車椅子を頂いたり、ヘルパーさんを派遣して頂いたり、こんなに良くして頂き、誠に有り難く感謝しております。

 翌月診察を受けた後、看護婦さんが「桜木さん、市役所に行った?」「はい行きました。親切に色々教えてもらって、車椅子まで頂いたよ。こんな事だったらもっと早くやっとけば良かった」「そうでしょう。私が言った時、やっとけば良かったのにね。でも良かったじゃない」「いろいろ有り難うございました」とお礼を述べました。